現場で実感した 「N95マスク選び」の大切さとは?!
たろけんです。
とうとう、私が勤務する病院にも新型コロナのクラスターが発生しました。
一人目が発覚してから怒涛の2ヶ月。ようやくクラスター終結宣言を行い、悪夢のような日々が過ぎ去りました。そこで、クラスター発生の現場だからこそわかった重要点をシェアしたいと思います。
一体なぜ!?ふだんは外出できない患者さんが感染!
ことの始まりは、一人の患者さんが熱発したことでした。
当病院では外出制限・外泊制限をしており、その患者さんはふだん外出されない方だったため、「コロナではないだろう」という安心感がありました。
ところが。
院内で念のためPCR検査をおこなったところ、まさかの陽性。それと同時に、外泊先から戻ったばかりの患者さんも熱発してコロナ陽性が確認されたため、大騒ぎとなりました。
一人目の患者さんは確かにふだんは外出をされないのですが、数日前に他病院を受診されていました。どうやらそこが感染経路だったようです。
また、外泊先から帰院される場合、直前に検温結果を電話してもらうのですが、今回は帰院直後に熱発したため、水際対策がスルーされることに。
70床程度の病棟に、感染経路の異なる2名のコロナ感染者が同時に発生する、緊急事態となりました。
個人防護具(PPE)フル着用で身を守る
さあ、そこからが大変です。
職員は一斉にエプロンタイプの防護具とヘアキャップ、ゴーグル、N95マスク、ゴム手袋(使い捨て)をフル着用し、病棟出入り口のドアを出るまでは決して脱げない2ヶ月が始まりました。。。
ふだんはメディカルマスクとゴム手袋、コロナ対策としてはフェイスシールドを着用している程度ですから、体全体がおおわれている暑苦しさと閉塞感は、相当なストレスとなります。
感染現場の評価No.1マスクはこれだ。
特にN95マスクは高性能なため安心感こそあるものの、息苦しさは一般的なメディカルマスクの比ではありません。。
日勤で半日もつけていると、強力なゴムのおかげで顔にクッキリとしたマスク跡が残り、それが実年齢よりも顔を老けて見せます笑
N95マスクが一時的に足りなくなるという事態も院内で起こり、ヒヤッとさせられたこともあります。そのため、私はクラスター発生直後にAmazonで個人買いしたN95マスクで急場をしのいだことがあります(同僚にも配れましたしね😊)。
2ヶ月あまりで数種類のN95マスクが支給されましたが、個人的に機能性と快適性のバランスが最も高かったのがこの重松製作所のN95マスク(10枚入り¥1,651)。
偶然ですが、わたしがAmazonでチョイスしたものと同製品でした。
その優れた特徴は、以下の5点です。
- マスク内の生地が直接肌に触れない構造のため、肌あれしにくい
- 口の周りにしっかりと空間が確保されるため、息がしやすい
- ゴムバンドの微調整ができるため、耳が痛くなりにくい
- 「くちばしタイプ」に比べて見た目がスマートなため、心理的につけやすい
- 顔とマスクの間にすき間ができにくい
N95マスクはウィルスの遮断が何よりも重要なため、見た目や快適性は後回しにされやすいのですが、こちらのマスクはいずれの項目も合格点✨
唯一、通気性は低いため内部で汗をかきやすいのですが、それは気密性とトレードオフだと思ってください。
なお、短時間の着用であればどのタイプでも急場はしのげますが、特に長丁場となる夜勤や梅雨時・夏場といった過酷な環境では、不快感によるストレスで心を削られます。
(生地が肌にこすれてケバ立ち、鼻や口周りが荒れてかゆい、痛くなる、などなど。)
他のPPEグッズに関しては個人で用意しにくいですが、マスクだけは自分に合った快適なものを用意されることを強くオススメします!
マスクの重ねづけはオススメしない。
「自分は今、コロナウィルスの感染エリアにいる」と思うと、正直言ってパニック感に襲われることも確かです。
それもあってか、少しでも感染リスクを下げようとN95マスクにメディカルマスクを重ねづけするスタッフも少なからずいました。
ところが、クラスター発生直後に行われた院内研修によるデータによれば、マスクの重ねづけによる効果はプラスα程度のもの。
そのひどい息苦しさに比べ、予防効果は2倍にならないことがわかっているのです。
そもそも、感染危険性の高い業務以外は、メディカルマスクの着用でも十分な効果があることがわかっています。
それでは「必ずN95マスクを着用していたい場面」とは、一体どんなものがあるのでしょう?
N95マスク着用がマストな業務内容とは?
ウィルス感染の危険性が高い医療現場での業務。それは、以下のような内容が挙げられます。
- たん吸引
- オムツ替え
- 食事介助
- 排泄介助
- 咳が出ている患者の部屋へ入室
- 気管挿管作業(かなりの緊急時。)
お気づきの通り、上記は直接患者さんの体液を浴びる可能性が高いもの。
咳やくしゃみによるつばを浴びたり、尿や大便の処理などを介してウィルス感染の危険性が高まります。
新型コロナウィルスは飛沫感染の確率の高さがかなり高いとされています。
ですから、上述のような作業を行う際はN95マスクをしっかりと着用して鼻と口を保護し、同時にフェイスシールドで目の粘膜をしっかりと保護すること。
もし、感染者のくしゃみや咳を直接浴びてしまったら、PPE一式を迷わず交換するようにしてください。
また、数量の関係でN95マスクの交換ができない時は、アルコールスプレーでマスクの外側をしっかりと消毒してから再度着用するようにしてください。(内側を行うと、アルコール臭が強すぎて装着できなくなります。)
絶対に「目をかかない」「鼻をこすらない」「口元をさわらない」
コロナウィルスのおもな感染経路は、口や鼻の中から入るか、目などの粘膜、傷口へ付着すること。逆をいえば、これらを徹底的に避ければ、まず感染しないともいえるのです。
患者さんのお世話をしている場面でも、「ちょっと今のはマズイかもな。。」と感じる場面は多々あります。そんな時でも慌てず、”手を顔に持っていかなければ、なんとかなる!”ぐらいに考えてください。
少しでも顔を触りたくなったら、面倒でもかならず念入りに手洗い&アルコール除菌を済ませてから。顔は最後の砦とも言える部分なのでこれだけは肝に銘じてくださいね!
やむを得ない時はゴム手袋の上からアルコール除菌
ふだん患者さんの患部に触れる際や排泄物の処理をする時は、使い捨てタイプのゴム手袋をします。
ところが、感染エリアでは常に手袋着用をしていなければいけません。そこで、一回の作業ごとに手袋を替えるヒマがない時などは、アルコールスプレーで手袋全体を除菌します。
これでウィルスの付着した手袋で共用部などを触るリスクを減らすことができます。
今回はN95マスクを中心としたPPEグッズの選び方と使用方法についてご紹介しました。
新型コロナウィルスと闘う医療現場や介護現場、自宅待機での看護などに少しでもお役に立てれば幸いです。
それではまた。たろけんでした😊