乳幼児の1割が該当!「Youtube依存症」とでも呼ぶべき事態とは。
以前、依存症専門病院でリハビリスタッフをしていた、たろけんです😊
今日は、幼児にも依存症は発症するのか?という問題について考えてみたいと思います!
最近、筆者のママ友にこんな話を聞きました。
リモートワーク中の旦那が2歳の息子をあやすためにiPadを与えていたら、YouTubeばかり見るようになってしまった。
操作もカンペキに把握していて、自分の好きな動画をどんどん見てしまう。心配になって
取り上げると火がついたように泣き出すため、また与えると静かになる、と。
これ、幼い子どもを持つ親なら、誰でも心配になりますよね?
筆者にも小学2年生と保育園児の子どもがいるため、決してひとごとではありません。
子どものお守り目的でのスマホやiPad使用はアリなのかナシなのか?というこの問題。
結論から先に申し上げると、「条件次第で可」というのが、エビデンスのある範囲内で言えることになります。
これは、視聴する幼児によっても大きく個人差が出るからです。依存の形成を示す具体的な条件でも判明しない限り、あくまでも「ほどほどにしましょうね。」程度の注意に留まることでしょう。
対象が何であれ、依存は形成されてしまう
とはいえ、子どもを守る親として、十分に知っておかなければならないことがあります。
それは、依存症は対象が何であれ、なる可能性があるという事実。
筆者が依存症専門病院で働くまで、せいぜい依存症と呼ばれるものは、アルコール、薬物、ギャンブル程度だと思っていたんですね。ところが、それはある意味、古き良き時代までの認識でした。
依存症は脳の病気です。現代はサービスからプロダクトまであらゆるもののクオリティが底上げされ、昔では考えられないほど脳がハマる下地ができているといえます。
つまり、対象がスイーツであれ、電子タバコであれ、エロ動画であれ、それなしではいられないほどハマってしまえば、立派な依存症といえるのです。
話を戻しましょう。
それでは、先ほどの例に出てきた幼児は、依存症といえるのでしょうか?
この問題に取り組んだ東京大学大学院情報学科の橋本良明教授(情報社会心理学)の見解によると、「幼い子どもがスマホを使うことの影響は、現時点ではまだはっきりとわかっていない」としています。
つまり、学術的に依存症といえるかどうかはグレーゾーンだよ、
ってことですね。
ただし、国が行っている「ネット依存度」を測る8項目の質問を幼児向けにアレンジして親に聞き取りをおこなった調査によると、5項目以上に該当する幼児が1割を超えていた、という結果が出ています。
「幼児のテクノロジー依存」という問題は、人類にとってあまりに新しすぎる問題。医学的判断はまだまだ長い時間と多く事例を必要とするでしょう。
ただ、長年依存症の患者さんと向き合ってきた筆者の体感値で言うならば、これは限りなく黒に近いグレーです。
なぜなら、項目の中に「やめようね、といっても聞かない」「取り上げると期限が悪くなる」というものがありますが、そこに火がついたように泣き出すレベルが含まれていることを考えれば、決して楽観視すべきではないからです。
この状態は、大人で言うところの「逆ギレして相手を怒鳴りつける」レベル。
決して「ちぇ、もうちょっと見たかったのにな。」程度ではありません。
欲しい物のためなら、周りに害を及ぼしても自分を顧みれなくなる。それが依存症の顕著な症状です。もしも自分の子どもがそこまでいっているのだとしたら。。
親として手をこまねいているわけにはいきませんよね?
そこで、次は対策について考えていきたいと思います😊
幼児を持つ親のための YouTube対策
依存症の特徴としては、依存物質や依存行動に関して 際限なく、より頻度を上げて、より強い刺激に移行するというものがあります。
つまり、 その条件を満たすような動画の視聴方法はNGということ。
YouTubeの視聴に関して言うならば、依存行動につながる芽を摘むのに必要な項目は、こんな感じになるでしょうか。
【YouTube視聴に関するNG項目】
- 勝手に視聴用デバイスを使わせる
- 再生コンテンツを出たとこ勝負で決める
- 停止ルールを決めずにダラダラ見させる
それでは、ひとつひとつを対策とともに見ていきましょう。
対策①主導権は親が握る
まず最初に、視聴用デバイスを子どもが操作することへの対策をしましょう。
先述の例のように、幼児が静かにしてくれるからiPadを渡しっぱなしにする。実はこれが一番よくありません。
なぜなら、わが家でも観察していてわかったことなのですが、子どもはデバイスやリモコンを手に持つと「自分が主導権を握っている」と勘違いします。
なんでも自分でやってみたい、というのは発達段階においてとてもいいことです。
でも、子どもの欲求につながる部分の主導権を与えると、後から取り上げるのがとても難しくなる上、理不尽な感覚さえ抱かせてしまいます。
カンタンに言うなら、誰だって幼児にクレジットカードを持たせたりはしませんよね?笑
わが家では、娘が0〜2歳の時にYouTubeにアップされたお気に入りコンテンツ「ミニスキュル」をテレビで見せていましたが、その場合は必ずそばにいました。
そして、一緒に見ていようがいまいが、リモコンは必ず親が持つことにしていました。そして、画面との距離や音量はすべて親のコントロール下に置く。
これが意味するのは、動画視聴の主導権は親が握っているということ。
夢中になれるこのコンテンツは、親が許可した上で与えてくれている、という感覚をしっかりと根付かせていたわけですね。
リモコンを渡さないと「動画があっという間に終わっちゃうから、子守にならないよ。」という方もいらっしゃるかもしれません。
その場合は、長めの動画を親が選んであげればいいのです。そこの手間は惜しまないでください。
もし、それでも子どもがイヤイヤをするようなら「じゃあ、YouTubeを観るのはやめよう。」とキッパリと一線を引く。
キビシイ言い方になりますが、それが出来ないのなら無限の選択肢にさらされるYouTubeは、幼児に見せるべきではありません。
対策②「状況別再生リスト」をあらかじめ作っておく
NG項目の2つ目、再生コンテンツを出たとこ勝負で決めるとどうなるか?
こうしてしまうと、子どもの目に止まったものを片っ端から再生していくハメに陥ります。
そこでオススメしたいのが、あらかじめ状況別の再生リストをつくっておくこと。YouTubeの「ライブラリ」から「新しい再生リスト」を作成し、
- お出かけ時に電車内で見せる動画
- 病院の待合室で見せる動画
- 泣き止まない時、グズる時に見せる動画
などを準備しておくのです。特に幼児はお気に入りの動画を繰り返し見たがるもの。
これまで再生したもので親子で楽しめたものがあれば、”鉄板動画”リスト入りをさせておきましょう。
対策③「連続再生モード」の停止&「関連動画」の非表示。
これも対策②に関連するものになります。
芋づる式に出てくるYouTubeの関連動画。これは、子どもにとってはパニックに近いほど目移りの原因になるものです。
たとえば、お菓子売り場やおもちゃ売り場に解き放たれた子どもって、嬉しいはずなのに混乱していますよね?
あれと同じ現象が、関連動画表示を見た幼児の脳内で起きているのです。より刺激が強くて面白そうな動画はどれだろう??と目まぐるしく興味が移り変わっていきます。
そうなると、「次はあれを観たい」「その次はあれ!」と、今見ている動画に全然集中できない状態に陥ってしまうのです。
この状態は、かなり依存症に陥った脳に近いモードといえるため、連続再生モードの停止と関連動画の非表示設定は忘れずに行うことをオススメします。
対策④視聴前にかならず停止ルールを確認する
興味のあるコンテンツをどこでストップすればいいのかわからない問題って、大人でもよくありますよね?
ましてや経験も判断力もない幼児に自分で視聴のストップなど出来るわけがありません。
そこで、毎回かならず動画の視聴を停止するルールを確認します。
「3つだけみたらおわりね」とか
「次で最後にしようね」といった具合に、キチンと声がけをおこなってください。
そして、長めに見せてあげたい場合などは「今日はごほうびね、特別だよ。」
などといって親からもらえるご褒美として動画視聴を位置づけてみてください。
きっとYouTube視聴の暴走は避けられるはずです😊
さて、ここまでご説明してきた「幼児のためのYouTube依存対策」、いかがだったでしょうか?
あらためて振り返ると、筆者自身、だいぶ慎重な姿勢を取っていることがわかります笑
でも、気づけば深刻な事態につながってしまうのが依存症の恐ろしさ。
子どもの脳を守るためにも、できることはしてあげたいですね✨
現場を知るものの意見として、ご参考になれば幸いです。
それではまた。
たろけんでした😊!