精神科ではたらくフリーライターのブログ

閉鎖病棟の看護助手兼フリーライターが日夜カラダを張ってお届けする、メンタルヘルスのお役立ち情報です。

仕事でアクシデント続発。。『なぜか自分の時だけうまくいかない人』の特徴とは?

泡わゎゎ。。ありえないったら、ありえない。

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たろけんです😊

今日は「精神科のお仕事あるある」をご紹介。

 

俗に言う(悪い意味での)「持ってる人」の特徴を挙げてみたいと思います。

 

精神科は外科や救急科などと比べ、患者さんの命が危険にさらされる機会の少ない職場。

その代わり、突発的なアクシデントが起きる可能性が高いという特徴があります。

 

そしておもしろいことに、”なぜかこの人の勤務時は決まってトラブルやアクシデントが起きる”という妙なジンクスが生じる場所でもあります。

 

「あの人」がいる時は、まるで凪いだ海のように病棟がシーンとしずまっているのに、「この人」の時は100発100中ありえないトラブルが起きる。

 

ウソみたいな話だけれど、精神科で働くと納得!の現象なのです。

 

スキルや経験年数とはあまり関係ない

 

ここが一番おもしろい部分だと思うのですが、ふつうは経験年数を経るにつれて危険回避能力が発達しますよね?そして、当然アクシデントの発生率は下がっていきます。

 

職場で意味をなすキャリアとはつまり、経験値がもたらす周囲への安心感。「この人がいれば大丈夫。」と思わせてくれる厚い信頼を指します。

 

ところがところが。

 

経験は十分、知識もスキルも文句なし、といったタイプの人間が、この「負のスパイラル」に陥ることがあります。

 

それでは一体、何が原因だというのでしょう?

 

今回は精神科勤務 足掛け10年、夜勤回数600回を超えるわたくしたろけんが、そんなジンクスが生じやすいタイプの特徴を探っていきたいと思います!

 

 

特徴その①「”ミイラ取りがミイラに” 型」

 

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精神科の看護という仕事は、一般人にとってもなかなかに興味深いもの。

 

看護学校や大学院などで学んだ体系的な医療知識と、現場での臨床経験。それにその人が歩んできた人生経験がないまぜになって生まれる「総合力」が看護の力をつくります。

 

そして、精神科では他科とくらべて「わかりやすい病」を扱うことが少ないと言えます。

 

精神科の病気の代表例「統合失調症」ひとつをとってみても、発生のメカニズムから治療法まで未だによくわかっていないことが山ほどあるのです。

 

つまり、一筋縄ではいかないのですね笑。

 

そんな精神科の病に対して、真っ向勝負を挑もうとする看護師さんがいらっしゃいます。

 

たとえば、

 

「この発言はこんな心理から発生しているはずだから、こう対応すべき。」

 

そんな風に、逐一アセスメント(調査とその評価)しながら対処する姿勢はすばらしいのですが、本人も気づかないうちにアセスメントが度を超してしまうケースがあります。

 

すると、何が起きるか?

 

「患者さんが何をしても、精神症状と結びつけようとする回路」が発動してしまうのです。

 

結果として、すべてが問題行動のように思えてナーバスになる→患者さんに対して身構える姿勢で接してしまう→患者さんの態度も硬直化しがちになる。やがて。。。

 

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ドッカン!!

 

という図式でコトが進行します笑。

 

精神症状を先回りして収めにいったら、逆に精神症状を誘発してしまう。それが「ミイラ取りがミイラに型」の特徴です。

 

誰だって、何もしていないのに探るような目で見られたら落ち着かなくなりますよね?

それに、反抗的な気持ちが芽生えるもの。

 

言葉はわるいのですが、だいたいは ”ちょっといい加減” ぐらいの看護師さんのほうが患者さんが落ち着いているものです。

 

つまりこうした傾向は、生真面目で「患者さまのために」と一生懸命なタイプが陥りがちなスパイラルだといえます。

 

 

特徴その②「ここはオイラにまかせとけ型」 

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photo credit: CarbonNYC [in SF!]   via photopin (license)

 

「ミイラ取りがミイラに型」が  ”心配性が裏目に出るタイプ” であるのに比べ、このタイプは自信満々で介入するのを得意としています。

 

勧善懲悪ものの主人公のように「コイツぁ、おれの出番だぜ!」としゃしゃり出て、状況もよく呑み込まないまま患者さんを叱りつけたり、勝手にコトを収めようとしたりして。。

 

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ドッカン!!します。

 

なぜか精神科看護歴の長さを自負するタイプや一芸に秀でたタイプにこの手合が多く、自省する機会が滅多にないのが特徴。

 

「得意な状況」で出ていくことで存在意義を感じる上、勝手に「一件落着!」してしまうからなのでしょう。

 

たとえば、腕力に自身のあるこのタイプと、暴力的な傾向のある患者さんの相性は最悪です。。笑

 

お互いにスゴみ合う関係性となり、良くてもにらみ合い、悪ければ患者さんの激昂を招くことも珍しくありません。

 

 

特徴その③”はやり風邪でも引いたみたいに不運に見舞われる”型 

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photo credit: xTrish Cat Eyes 2 via photopin (license)

 

 すみません、ネーミングが長すぎましたww

 

略して”流行性不運型”とでも申しましょうか。。笑

 

人間、誰しも妙にツイていない時期があるもの。これは、わたくし自身が何度も経験があるので説得力あるご説明ができそうです。

 

たとえば、前日の夜勤はまったくそんなことなかったのに、自分の夜勤だけ患者さんが一斉に便失禁でお出迎え。それも、看護師さんが仮眠中のひとりの時間です。

 

ひとり目は、「青い鳥」のパンくずのようにトイレの個室からベッドまで点々と足あとがつづき👣、最後はそのまま布団にくるまったヘンデル氏とご対面✨

 

やっとのことでご本人をシャワーで綺麗にして着替えさせ、床も掃除し終わったところで、なんと火災ベルが鳴り響き(誤作動)。

 

おどろいて出てきた老人部屋のおじいちゃんが「わあーー!」と叫んだ拍子に脱糞し、またまた廊下を汚してしまう。。。

 

そんなコントみたいな出来事が続いたため、一時的に「ツイてる男」と呼ばれたことがありますww

 

また、自分のことならまだしも、看護師さんの不運の波がなんとなく分かってしまうこともあります。

 

本人は至ってふつうにしている様ですが、なにかいつもと空気感のようなものが違う。いわゆるオーラのようなものに影が差しているように見える日があります。

 

そんな日の夜勤に重大な事故が発生したこともあるため、人間の微差を感じる力はなかなかあなどれないのです。

 

とはいえ、こうした不運の波は自分ではなかなか断ち切れないもの。体調管理をしても仕事の見直しをしても、どうしても流れが改善しないと感じた時、わたしは意を決してお祓いにでかけます。

 

そうして「やるべきことはすべてやった」という開き直りを力に、フラットな姿勢を取り戻すのです。

 

この10年でわずか2度だけ行きましたが、これがまたよく効くんですよねぇ。。✨笑

  

「ひんやり観察」&「てーげー」モードのすすめ

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photo credit: rikpiks Dazzling ice cave via photopin (license)

 さて。異なる3つのタイプをご紹介してきましたが、これらに共通するソリューションはあるのでしょうか?

 

ひとつ言えることは、特徴その①と②はタイプこそ正反対ながら、「結構ガンコなタイプ」という点でよく似ています。

 

「こうあるべき」「これが正解」そんな無意識レベルの凝り固まった思考が、知らずとトラブルを招き寄せている。

 

そんな風にも見えるのです。

 

だからこそ、そんな状態に陥っている方にオススメしたいのがひんやり観察モードと、てーげーモードです。

 

わたくしたろけんから見た「何故かいるだけで病棟が落ち着いている人」の特徴は、この脳みそを持っている人たち。

 

彼らはコトが起きても決してすぐに断罪したりしません。

 

前後関係を思い込みのない「観察モード」で眺め、それが大したことのないものなら、「てーげー(たいがい)」に流してまた観察をつづける。

 

そうやって、最も適切な介入のタイミングと方法を探るのです。

 

「コトを収めるには、あえてコトを収めない姿勢でコトにあたる」

そんなじっくりコトコト型の柔軟性も、時に精神科の現場では重要なのです。

 

 

 いかがでしたか?精神科のお仕事あるある。 

また思いついたらご紹介したいと思います。

 

それではまた。

たろけんでした😊!