精神科ではたらくフリーライターのブログ

閉鎖病棟の看護助手兼フリーライターが日夜カラダを張ってお届けする、メンタルヘルスのお役立ち情報です。

精神科のスタッフなら、気ラクに精神科を受診できるのか?

精神科は、メンタルバランスを崩した人に優しい場所か。

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たろけんです。

 

前回は、コロナクラスター下でわたしがうつ状態に陥るまでの流れを書きました。

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お読みになった方は、原因は一つではなく、複合的な要素が絡み合いながらメンタルのバランスを崩していくことをご理解いただけたかと思います。

  

それでは、もしあなたがメンタルのバランスを崩している時、まずはどんな行動を取るべきなのでしょう?今回のわたしの例を一つのシミュレーションとして使っていただけると幸いです。

 

 

精神科の受診はかなりハードルが高い??

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最初に出てくるのは、ちょっとメンタルの調子が悪いな。。という時に、まずはどうすればいいのか?という問題です。

 

結論から言うと、10年精神科に勤務する私でも「そうだ、今こそ精神科を受診しよう!」とはなりませんでした。

 

そればかりか、正直なところ、選択肢として思い浮かびもしませんでした。。(笑。

 

体調を崩したら、専門家である医者にすぐに診てもらいますよね?病院ギライな人も、風邪で受診するぐらいならそれほど抵抗ないと思います。

 

けれど、メンタルが不安定でシンドい時、一体どこに行けばどんな安心感が与えられるのか?

 

そうした情報は、まだまだ一般化しているとは言えない状況です。そして、それは長年精神科での勤務を続け、実情を知るわたしにとっても同じことだったのです。

 

精神科は「薬を出してもらう場所」という認識

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不眠に悩む同僚が睡眠導入剤を処方してもらった。そこまではよく聞く話ですが、これが「精神安定剤を服用している」と聞くと、一気に深刻に感じられるのは確かです。

 

その一番の理由は、薬だけ飲んでいても、根本的な治療にはなっていないんじゃないか?

と、多くの人が感じているからでしょう。

 

急場をしのぐ価値こそあるものの、精神安定剤を飲んだだけで、不安や憂鬱さをすっかり克服してしまった人などどこにもいません。

 

そうなると、精神安定剤には「これがないと不安になる。」という本末転倒な依存性と、

「この量じゃ効かないからもっとください。」という薬物耐性のデメリットが出てくるんですね。。

 

もちろん、飛躍的に性能が向上した精神安定剤は、入院治療を行う際はとても頼もしい選択肢であることは確かです。

 

統合失調症、双極性障害などの患者さんがバランスのいい薬物処方をされている時、日常生活に問題がないレベルまで回復しているのを何度も見ているからです。

 

ですが、一時的にメンタルが不安定になった人が気ラクに頼れる選択肢なのか?といえば、先述した理由により、とてもそうとはいえないのが現状なのです。

 

精神科は、精神安定剤を処方してもらう場所。

 

そんな認識と実情が変わらない限り、ちょっとだけメンタルがつらくなった人たちの駆け込み寺としてはまだまだハードルが高いといえるでしょう。

 

ドクターから「診断名」が欲しいわけじゃない。

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もう一つ精神科を選ばない理由としては、医師の診断によってむやみに「病名」をつけてほしくない、というものがあると思います。

 

会社をしばらく休職したいとか、ブラックな職場に対して権利を主張したいといった場合であれば、医師の診断書はどうしても必要になってきます。

 

それは、受診の目的が「他者」へのアピールを前提としているためですね。

 

ところが、ほとんどの場合、メンタルバランスを崩していることは他人に知られたくないもの。そのため、受診履歴すら残したくないと考えるのが現状なのです。

 

生命保険で加入できないプランがあるってホント??

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また、生命保険に入られている方ならご存知かと思いますが、精神科やメンタルクリニックを受診したという事実が保険会社に知られた場合、加入できないプランが出てきます。

 

保険会社の勝手な言い分だと実に腹立たしいのですが、「精神科を受診した人間は、予後において自殺を図る確率が高いとのデータがあるため」だと知人の保険外交員は教えてくれました。

 

彼らがいかにわれわれの幸せなど眼中にないか、よくわかると思います。

 

このように日常的な不利益が出てくるため、あたかも精神科の受診は「悪いこと」のような空気が充満しているんですね。

 

悪いことがあるのだとすれば、それはたったひとつ。病気の悪化を防げずに「幸せになる」という選択肢を捨ててしまうことに他なりません。

 

それに比べたら、お得な保険のプランから締め出されることなど、屁ほどの価値もありはしません(笑。

 

精神科を受診せずにメンタルをととのえる 

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さて、そんなわけで。 少々話が脱線してしまいましたが、わたしは今回、上記の理由から精神科の受診を除外しました。

 

代わりに何をしたのかといえば。。それは「読書」でした。

 

「え?それだけ?!」とガッカリされた方、ちょっとだけ待って聞いてください。

 

次にご紹介する2冊の本は、メンタル版「家庭の医学」のような存在です。

そのため、いざ自分がメンタルのバランスを崩した時、むさぼるように再読することになったのです。

 

一冊目は、睡眠に関する過去記事で取り上げた Testosterones氏と精神科医の岡拓哉氏による「心を壊さない生き方」です。

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こちらは主に、後半部の「超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書」を参考にしました。

わかりやすいマンガをベースにした症例集となっており、自分の症状がどの傾向に最も近いのかを共感しながら知ることができます。

 

これによると、わたしの場合は確かにうつ傾向も認められましたが、より環境要因のストレスが強い「適応障害」に近いと感じました。

 

もう一冊は、これまでも何度か取り上げた鈴木 祐氏の「最高の体調」です。

最高の体調 ACTIVE HEALTH

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  • 作者:鈴木祐
  • クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
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 この本は、メンタルバランスを崩した自分が「なぜ、このような状態になったのか?」をふり返る上でとても重要な役割を果たしてくれました。

 

「脳の進化の過程」という視点を導入することで、何気なく行っていたストレス解消法がいかにコロナ禍のストレスを助長していたのかに気づくことができたのです。

 

次回はストレスを助長させていた原因の特定と、わたしが採用した回復プランについてお話ししたいと思います。

 

それではまた、たろけんでした😊