依存性が加速している現代のゲーム事情
依存症対策は子どもへの「予防接種」
ここ数日、依存症に関する情報をお伝えしているたろけんです😊
10年前、リハビリスタッフをしていた依存症専門病院で痛感したことがあります。
それは、「現代って、”一億総依存症”の時代なんだな。。」ということ。
入院している患者さんに限った話ではありません。彼らを見て、わたし自身が心底身につまされたんですよ。
無数の情報と選択肢がどんどん押し寄せるのに、送り手も受け手も「まだ足りない、まだ足りない!」と飢餓感ばかりがつのっていく不思議。
それに、小学校入学から大学卒業まで16年もかけているのに、そうした事態への基本的な対処を先生も親も教えてくれない。これって実はヤバくないですか?笑
わたしはひょんなことから依存症の実際を理解する機会を持ちましたが、依存症ってホントに病気であって病気ではない、人間の性(さが)みたいなものだな、と思い知りました。
=誰もが危機にさらされている現代病 ってことですね。
特に、小さいこどもの脳は未発達ですから、一度おかしなクセをつけると取り返しのつかないことになるケースもあります。だからこそ、親が意識して守ってあげなくてはいけません。
つまり、依存症対策は子育てにおける「予防接種」ともいうべきものであることがわかっていただけるかと思います。
そんなわけで、今日はYouTubeやテレビよりもずっと悩ましい「ゲーム」の与え方についてご紹介したいと思います。
ゲームには害があるのかないのか?
子育ての悩ましい部分は、親である自分以外、こどもの特性を理解できないということですよね。
他の子どもが受け取ってOKなものでも、わが子に与えるのはNG。それって、食べ物やテレビ番組の選択を皮切りに、結構あるものです。
その代表的なものが「ゲーム」の扱いでしょう。ゲームが子どもに与える影響については、いろんな人がいろんな説を唱えています。
「子どもの脳に悪影響を与えるからやめておけ」
という主張から、
「いやいや、脳の発達をうながす結果が出ているから与えるべき」
といった肯定派まで、議論百出といったところ。
でも、ここで大事にしたいのが「わが子にとって危険性がないか?」という視点です。
たとえ、知能を向上させる「可能性」があるゲームであっても、依存状態に陥る「可能性」があるゲームであった場合、どちらを重視すべきなのかは言うまでもないことですよね?
「マシュマロ実験」で子どもの脳のタイプを知る
そこで、わが子のリスクを計るためにご紹介したいのが「マシュマロ実験」です。
これはスタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェル教授によって行われた、子ども時代の自制心と成長してからの社会的成果を追った実験です。
カンタンにいうなら、子どもの目の前にマシュマロをひとつ置き、「戻ってくるまで待てたらもう一個あげる」と言って大人が15分間姿を消すというもの。
戻ってきた時にマシュマロが残っていた子どもは、全体の三分の一しかいなかったこと、また、その子たちは成長して大学適性試験(SAT)を受けた時、待てなかった子どもに対して大幅な優位性を見せたことがわかっています。
この「マシュマロ実験」を家庭内で意識するだけで、明確にわかることがあります。
- おやつを目にした時に、「今たべたい!」「もっと食べたい!!」といってきかない
- 「これを見たらテレビは終わりね」といった時にやたら食い下がる
- 決まりごとは守れないのに、自分の欲求だけは目ざとく主張する
- 一度注意されたことを何度でも繰り返してしまう
こんな傾向があるお子さんの場合、まちがいなくマシュマロを一瞬で平らげるタイプです笑。
うちの息子がまさにこのタイプなので、よーくわかるんですねw
反対に、娘はマシュマロを残してキッチリとごほうびを手に入れるタイプ。
たしかに「頭の良し悪し」をこれだけで判断することはできません。けれど、「自制心」の強さに関してハッキリとした差異があることは明白です。
だからこそ、わたしは息子に「ゲーム機器」を与えないという判断をしています。
一度あたえたら、息子はあの手この手を使ってゲームをしようとするでしょうし、やがて頭の中がゲームで一杯になってしまうはずです。
そうした選択肢を親が与えてしまうことは、自制心の弱い彼にとって不幸なことなのです。
”中毒系ゲーム”はこうして見分ける
さて。わが家に関しては「ゲーム機器は与えません」で終了してしまいました笑。
この先何度も「ゲーム機買って!!」と言ってくるだろう息子に対して、根気よく説明することになるでしょう。
そして、家族との団らんを深めたり、創造性を高める「良いゲーム」の要素を、キャンプやカヌー、読書などで身につけてもらえるよう魅力を伝えていきたいと思います😊
では、「自制心の強いタイプ」には、どんなゲームであれば与えられるのでしょうか?
それは、極論からいえば ”中毒性のある構造のゲーム”を避けることに尽きます。
ここに一つの、「ゲーム依存症」に関する恐るべき記事があります。
「スプラトゥーン」の中毒性が極端に高い理由〜家族の絆をも壊すその特殊なゲーム設計〜
「Nintendo Switch」のシューティングゲーム”スプラトゥーン2”の依存性の高さを、ゲームクリエイターが構造的に分析した、素晴らしい記事ですね。
ここから読み取れる「中毒性の高い要素」は、次の3つ。
- 「クリア」という概念がない
- 少額のオンライン会費で遊び放題
- ギャンブル的な快感を与える「ガチャ」が組み込まれている
これらこそ、脳が無限の興奮と快感にさらされ続ける、最凶の要素といえるでしょう。
依存症の怖さを肌身で知る筆者は、こうした記事を見るとブルッと寒気がしますww
でも上述した3つの要素を含まない人気ゲームって。。今の時代にありますかね?笑
そんなわけで、どうしてもという場合には、
- オンライン接続する必要がなく
- クリアしたら終わる
という条件のゲームだけを与えることを強くオススメします!
(そんなゲームが今の時代。。この辺でやめておきますww)
「ゲーム依存」の末路は。。
わたしがここまで慎重な姿勢を取るのは、ゲームの負のスパイラルの怖さを知っているからです。
そこで最後に、子育てオンラインメディア「東京すくすく」に掲載された記事をご紹介して終わりたいと思います。
この記事のシリーズの上・中・下まで読んでいただければわかりますが、依存症というものは基本的に治せません。一旦、脳に依存が形成されると「完治」はないと考えてください。
また、依存症の場合、未成年者の入院は基本的にはどこも受け付けていません。
それどころか、ゲームやネット、スマホのなどの依存を治療対象にしている病院は現在、横須賀市にある国立久里浜医療センター以外にはないのです。
記事中には、全国から受診希望の連絡が殺到しているとありますが、その通りだと思います。
予約を取ること自体が困難なため、基本は自己防衛するしかないのが現状なのです。
そんなわけで。
ちょっと怖い記事になってしまいましたが、世の中に出回っているメジャーなものが安心、という時代ではないことだけはくれぐれもお気をつけくださいね。
それではまた。
たろけんでした!