パニックを生む地震通知に意味はあるのか?
暗闇に響きわたる、すさまじい警報音。
関東近郊のみなさん、昨晩の地震の緊急速報メールは届きましたか?
昨晩の22時過ぎ、わたしは夜勤の仮眠に入っていました。目覚ましのアラームを聞き逃さないよう、耳元にスマホを置いて。
ようやくウトウトしかけたその時、今まで聞いたこともないようなけたたましい警報音と共に
「地震がきます、地震がきます!!!」
と、最大ボリュームのアナウンスが耳元で響きました。
暗闇の中で跳ね起きたわたしは、半ばパニックを起こしながらもそれがスマホからの警報音であることにようやく気づきました。
あまりの音量だったため、病院内の全館放送かと思ったのです。。。
そしてご存知のとおり、後からやってきたのは揺れにも気づかないほどの微細な地震。
「・・・はぁぁ???」
と思いましたよね、誰もが笑。
ところが、病院では「はぁ?」だけでは済みません。
患者さんの身の安全を確認すべく、全病室を見て回り、事務当直に連絡を入れる必要が出てくるのです。
特に、精神科には内側からドアを開けられない「隔離室」がありますから、有事にはまっ先に彼らを開放する必要があります。
地震の揺れで外からドアが開かなくなり、逃げ遅れて倒壊や火災で死亡。
万が一そんな事態にでもなれば病院経営など成り立たなくなるほどの損害賠償請求を受けるでしょう。
それが殺人レベルの重犯罪を犯した精神鑑定の患者さんであろうが、優先順位は当然、彼らの命であり、彼らを病院から逃走させないことではありません。
命の現場では、常にそうした危機意識とリスクの判断を迫られているからこそ、情報の精度と、その伝達基準の適切さというものは非常に重要になってくるわけです。
地震の際に人はどう行動するか?
ところが、ところが。
昨夜のケースときたらどうでしょう?
震源地から近い場所で、なおかつ震度6以上の強い揺れであるならまだ納得もできますよ?
また、沿岸部で津波の恐れがあるというのならそれも理解できます。
「政府広報オンライン」によれば地震の緊急速報メールが届く基準は、震度4以上の揺れが予想される場合。しかも、通知のタイミングは実際の地震の数秒前でしかないのです。
その程度のゆるっとした基準で、あらゆる生活スタイルを送る数百万から数千万の人間に一斉に非常識な警告音を送りつける。
そのズレまくった感覚がどうしても理解できません。
震度4程度の揺れなら、年に何度となくやって来ます。そしてまた、その程度の地震で家庭内の器物の損壊や出火につながったという話は聞いたことがありません。
とはいえ、おそらく反論はこんな感じでしょう。
「少しでも命を守る可能性が高まるなら、多少の混乱は仕方がない」
「数秒前の通知でも、とっさに身を守る時間ができるはず」
これらはまさに、危機管理能力の低さを露呈した意見だと思いますww
まず、事前に身を守らせることが目的なら、現在の警告音は異常すぎます。
寝ている人間ならパニックを起こして頭が完全にフリーズするレベル、自動車の運転中なら操作を誤りかねないレベルです。
わたしはそれほど心臓が弱い方ではありませんが、心疾患を持つ患者さんの場合、あの音を聞かされたら相当な負担がかかるのではないでしょうか?
肝心の地震よりも確実にトラウマになる警報音。開発した人間の耳元で鳴らしてやりたいと心底思いましたよ笑。
また、数秒前であっても出来ることはあるはず、というのなら人間観察が足りないとしか言いようがありません。
地震警報があった直後にすぐ行動を起こす人って見たことがあるでしょうか?もしそれが火災警報だったとしたら、出火も確認せずに口元をハンカチで覆ったりはしませんよね。
つまり、地震だって同じことなのです。
地震警報がきた時に人間がおこなう行動。
それはとっさに机の下にもぐりこむことではなく、どの程度の地震が来るのかを実際に待つことでしょう。
人間はそうやって実際に起きたことを基準にしてしか次の行動が取れないのです。そしてそれは、何も考えずに机の下にもぐりこむより、はるかに優れた状況判断能力だと思います。
そうなれば、地震速報メールの狙い自体がそもそもズレていることがよくわかりますよね?
耳障りな音が死ぬほどキライなわたしにとっては、まさに不要不急の地震速報メールがiPhoneのデフォルト設定になっていることが耐えられず、速攻で通知をオフにしましたw
※ iPhoneの方、「設定」→「通知」→一番下へスクロール→緊急速報→【OFF】
でございます笑。
おかげで、昨晩はほぼ一睡もできずに18時間の夜勤を過ごすハメに陥りましたよww
スマホは政治家とのホットラインではない。
ちょっと考えていただきたいのですが、この警報メール問題。
よく見ると「緊急事態宣言の中身」と実によく似ていると思いませんか?
先日、橋本徹元大阪府知事が怒りまくっていましたが、「口は出すが責任は取らない新型コロナ特措法は、最悪の法律だ」というご指摘、まさにそのとおりでした。
元はといえば世の中がいま大混乱に陥っているのも、責任逃れと国民管理を同時にやってのけたい政治家のムリが破綻しかけているからでしょう。
そういう視点で見ると、地震速報メールも「政府としては、やるべきことはやっている」という、あらかじめ批判を封じるための傲慢なやっつけ仕事にしか見えません。
ツイッターの反応を見ても「おどろいてスマホを放り出してしまった」という意見が続出していたように、警告音におどろいて次の行動に支障が出ているようでは失策と言われても仕方ありません。
また、神奈川県では先日、別の緊急速報メールが届きました。東北大震災の折によく耳にした警告音です。
「すわ地震か!」とスマホを取り出せば、「GW(がまんウィーク)」と書かれた気の抜けたオヤジギャクのようなタイトルが。。
周りのみなさんも一様に失笑していましたw
元ニュースキャスターとして、わざわざ緊急速報メールというメディアに乗せて送る文面なのか?そこを考えた上で送っていたとしたら、さらに事態は深刻ですね。。笑。
そもそも、スマホというものは極めてプライベートな空間であり、そこにドサクサ紛れに入ってくる理由が政治や権力であってはなりません。
今回の件で、政治家からのホットラインに活用する先鞭をつけたつもりでいるのでしょうか。。?そんなことすら勘ぐってしまいます。
これでは、わたしのようにますます通知をOFFにする人が増えていくことでしょう。
こうした国民の日常感覚と政治家のはてしない距離感。
きっと今後はますます露呈していき、ますます中央集権型政治への不信と地方自治の隆盛に拍車がかかるのでしょう。
自分の意見をしっかりと持って住みやすい街にどんどん移動する。そんな将来がやってきそうな予感ですね✨
それではまた!
たろけんでした😊