精神科ではたらくフリーライターのブログ

閉鎖病棟の看護助手兼フリーライターが日夜カラダを張ってお届けする、メンタルヘルスのお役立ち情報です。

「精神科で働いてみたい人」に贈る、性格適正リスト

精神科で働くのに向く人、向かない人とは?

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たろけんです😊

 

過去記事「精神科の日常」で2回にわたり、精神科病院の閉鎖病棟の概要をつかんでいただきました。そこで今日は、精神科で働くのに適している人とそうでない人の違いを考えていきたいと思います✨

 

わたしはこれまで足掛け10年にわたって複数の精神科病院で勤務し、多くの看護師さんや看護助手さんと関わってきました。また、勤務日数の約半分は夜勤のため、これまでの夜勤総数は優に600回を超えます。

 そうすると数あるデータの中で、ある傾向が見えてくるんですね。。笑。

 

 精神科勤務に最も向かないタイプはこちら!

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photo credit: focusonmore.com

 

たとえば、精神科の勤務に最も向いていない方。これは「あ、自分はこの環境に向いてないな」と即判断して一瞬で辞めてしまうタイプです。冗談のような話ですが、これは本当によくあるパターンですね。

 

あまり忍耐強くないこのタイプの場合、看護助手だと初日に来ただけで翌日から来なくなるか、長くて数日も勤務すればいい方でしょうか。

研修で精神科経験をする看護師さんは、そこまで極端なケースは少ないですが、やはり辞めるときはもって3ヶ月以内といったところ。

 

たろけんはサラリーマン時代に営業をしていた人間ですから、最初はそんな人間を見て「え?!速攻ブッチなんて。。高校生のバイトかよ!」と驚いたものです笑。

 

ところが今は、特に業界未経験だった場合、「まあ、そうだろうなあ。。」と共感さえおぼえます。なぜって、病院内と病院外の世界のあまりのギャップに驚くからなんですね。

 

中には半日見習いをした後で一緒にお昼ごはんを食べにいったら、一言もしゃべらなくなった方もいました。あぶら汗をダラダラ流してほとんどご飯に箸をつけないのを見て、「あ、これは明日こないな。」とw

 

 速攻でやめるケースの「世間との3つのギャップ」とは?

ギャップその①「見た目問題」

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 彼らが来なくなる ”世間とのギャップ” には、実際いろんな要素があります。

 

まずは病院自体の「見た目問題」。築年数の経った精神科病院の場合、中には病棟の窓に鉄格子がはまり込んでいるものがあります。

 

これは主に離院防止や自殺防止など、患者さんを守るための手段なのですが、「精神科病院=怖い」という誤ったイメージを世間に植え付ける大きな負の要因です。

 

だって、鉄格子を見たら誰だって「逃げられない」と連想しますよね。それがたとえ、患者さんの安全を確保する目的だったとしても。

そしてもちろん、入職間もないスタッフも「逃げ場のない職場」だと感じます。

 

もう一つは、患者さんの見た目問題。

たろけんの今の職場は2箇所目の精神科病院なのですが、それでも面接の際に病院の敷地内でひなたぼっこをしている患者さんを見てギョッとしたのを覚えています。

 

赤や青のヘッドギアをかぶった集団が、ふらふら歩いている。それも昼間なのによれよれのパジャマ姿で白い顔をして。ひとりふたりならまだしも、集団になられると見た目にもこう。。。鬼気迫る感があるんですね。

 前の職場が依存症治療の専門病院だったこともあり、患者さんの層も見た目も全く異なっていたので驚いたわけです。

 

後に知ったのは、彼らは「療養病棟」の患者さんで、入院歴が長い上に向精神薬のダメージも大きいこと。そして、彼らにも当然のことながらそれぞれに個性があり、温かい人柄もちゃんと持っているということです😊

 

要は、そこまで冷静にものを見る前に判断してしまう「余裕のなさ」が、追いつめられてしまう原因の正体なんですね。

 

正しい知識と職業的耐性をもった看護師さんと、専門教育を受けていない看護助手の一番のちがいはここにある、とわたしは見ています。

 

とはいえ。病院にしても患者さんにしても旧来のイメージから抜け出すためには、見た目の印象を変えていく努力はとっても大事だとたろけんは思います✨

 

  ギャップその②「におい問題」

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見た目の次に来るギャップといえば、「におい問題」ですね。閉鎖病棟はその性質上、扉をすべて開け放って換気することができません。

たとえ南北に通じる病室の窓が開けられる構造になっていたとしても、今度は別の問題があります。

 

それは、患者さんの多くが ”換気を嫌う” ということ。依存症専門病院はまた違うのですが、一般的な精神科病院の患者さんは、環境の変化をとても嫌がる傾向があります。

 

夏でも冬でも窓を開け放つとすぐにピシャリと締め切ってしまい、人工的なエアコンの風をとても好みます。

それによって病棟内の空気はよどみ、患者さんの体臭やポータブルトイレの尿臭や便臭がないまぜになった、とても不快な匂いがするんですね。

 

わたしは元々潔癖な面も持っているため、この独特な病棟臭は5年経っても慣れないとブツクサ言っていたものですw

 

対策には強制自動換気システムを導入するなど、病院の設備投資の問題でもあるので、この点がどうしても気になる方は最新の病院を探すことをオススメします笑。

 

 ギャップその③「大声問題」 

 

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さてさて、これだけでもすでに十分お腹いっぱいなところへ容赦なくやってくるのが「大声問題」であります。。笑。

 

これは在棟される患者さんの面子や状態に大きく左右されるのですが、さまざまな要因によって大声をだしたり怒鳴っている患者さんが少なからずいらっしゃいます。

 

これによって本当に神経をさいなまれる時があるんですねww

 

大声を出す原因は患者さんによって人それぞれ。

認知症のせいで「まだご飯をたべていない!」という怒りの声もありますし、統合失調症の方が幻聴に対して怒鳴り返している場合もあります。

 

または、高次脳機能障害の方がちょっとしたことにガマンならなくなって怒鳴り込んでくるケースも。。

 

そして、ボディブローのように地味に効いてくるのが、精神遅滞の患者さんの「同じ内容の無限リピート」だったりします。

 

入職初日から、素性も症状もわからない方々の雄姿をまざまざと見せつけられてしまうと、感じるのは「恐怖」でしかありません。

これは人間が未知のものに感じる、最も素直な感情でもありますから仕方ありませんね 笑。

 

 つまり、業界未経験者が初日に感じるのは「カオス」そのもの✨

 

最初は、あらゆるものが未分類のままそこらに放置されているように見えるのです。

それが見るものに不安を与え、やがてそれが恐怖へと姿を変える。そうなったら働きつづけろというのも酷な話です。

 

「 精神科勤務に向いているタイプ」はこちら!

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それでは、そんな先制パンチを乗りこえてくる猛者とは一体、どんな人物像なのでしょうか?

ある意味、並の人間には太刀打ちできないほど屈強なメンタリティに思えますよね?

 

いやいや、それがそうでもないんです。たろけんの見立てはこう。

 

「いい意味で、世間と一定のギャップを持っている人物」

 

元も子もないようですが、これが真実に近いと思われます 笑

 

 閉鎖病棟の内側に広がっているのは、紛れもなくカオスの世界。

ただ、そんなカオスを自分なりに解釈や整理が可能と思えるかどうか。または同時に解釈も整理もしなくていい、と思えるかどうか。

完全に矛盾しているように見えますが、向いているのはそんな感性の持ち主だと思います笑。

 

 さて。長文化してきたので、以下にわたしの考える「精神科勤務に向いている人・向いていない人」のタイプ別要素を並べてみました。該当する個数が多かった方ほど、それぞれの素質があると思われます✨笑

 

☑ 精神科で働くのに適正のあるタイプリスト

 

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☐人とは違う趣味やセンスがあると自認している。

☐メジャーなものよりマイナーなものの魅力に惹かれるほうだ。

☐自分の興味範囲がニッチだと言われたり、「変わってるね」と言われたことがある。

☐一度興味を持ったものには、とことんのめり込むほうだ。

☐現在(もしくは過去に)強烈にハマっている趣味があり、そのメリットとリスクを同時に感じている。

☐過去に辛い経験や困難に遭ったため、同じような人間を助けたいと思う。

☐家庭環境が比較的ハードだったが、それを乗り越えてきたと感じる。

☐奇妙なことや常識はずれなものに好奇心をかきたてられる。

☐人と比べて忍耐強い方だと思う。

☐常識なんて国や環境が変われば変わって当然だと思う。

☐状況次第では自分だって狂うかもな、と感じることがある。

☐ラチの開かないものを見聞きした時に、なぜかユーモアのセンスが湧いてくる。

☐他人に対して優しさと厳しさの線引きがしっかりとできるほうだ。

☐丸ごと相手の面倒を見るよりも、自立を促すことに価値を感じるタイプだ。

☐多少のリスクを承知の上で、相手の自由な行動を黙って見守ることができる。

☐経験の大切さと、それが逆に足を引っ張るデメリットを同時に評価できる。

☐目の前で起きていることを「よくあるケース」と断じずにフラットに見ることができる。

☐ザワザワと落ち着かない環境の中でも比較的マイペースをつらぬける。

 

 

☑ 精神科で働くのにあまり適正がないタイプリスト

 

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☐他人のちょっとしたミスが許せないことが多い。

☐常々、「自分の知識と判断こそが正しい」と感じる。

☐自分の理解できないことは全く面白いと思えない。

☐理解できないことは価値や意味のないものだと感じる。

☐理路整然とした会話が好きで、相手にもそれを求めがちだ。

☐論理的に筋が通ったものでなければ受け入れがたいと感じる。

☐相手の間違いを正さないと気が済まない。

☐整理整頓好きで、他人にも同じようにすることを求める。

☐常識的な言動をすることに強くこだわる

☐状況や環境によって感情が著しく変化することが多い。

☐不安定な性格だと自分で感じたり、他人から言われたことがある。

☐帰宅した後も仕事のことをクヨクヨ考えることがよくある。

☐ストレスを解消する選択肢をあまり持っていないほうだ。

☐額に汗して働かない人間に対して、怒りを覚えることがある。

 

 さて、あなたはどうだったでしょうか?

今後は項目ごとに事例を挙げて当ブログで詳しくご紹介していきたいと考えています。

リストの中に重複する要素がある点はなにとぞご容赦を 。。笑

 

今日も最後までお読みいただきありがとうございます。

 たろけんでした😊