精神科ではたらくフリーライターのブログ

閉鎖病棟の看護助手兼フリーライターが日夜カラダを張ってお届けする、メンタルヘルスのお役立ち情報です。

【パルスオキシメーターの選び方】コロナ時代は今後、家庭での”血中酸素飽和度チェック”が必須になる。

”低酸素症”の危険とパルスオキシメーターの重要性を知る

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新型コロナウィルスの自宅療養者が全国で9万人を超えている現在。すでに都内では感染者の緊急搬送ができないケースが多発している状況です。

 

だからこそ、われわれは完全に”医療崩壊している”という認識でわが身と家族を守らなくてはなりません。

 

そして、この入院できるかできないか?というフェーズの次に来るのは、

酸素が手に入るのか、否か??

という、身震いするような事態です。

 

命をつなぐインフラの中でも最重要かつ、不足がすぐに命をおびやかす「酸素」。

その争奪戦は、すでにインドで繰り広げられた地獄のような現実なのです。

 

今回はこの”酸素不足”がもたらす危険とその対策について、理解しておくべき点を整理します。

 

 

血中酸素飽和度(SPO2)の重要性とは?

病院では毎朝、患者さんのバイタルサインをチェックしています。精神科病院で計測するバイタルサインとはなにを指すかといえば、

 

  • 体温
  • 脈拍数
  • 排便の有無

となります。そして通常、明らかに体調不良のある方にしかチェックしないのが

 

  • 血圧の数値
  • SPO2(血中酸素飽和度)値

の2項目です。

 

 病院内でクラスターが起きた際、他院への緊急搬送を行うか否かを決めた判断基準。それは主に「SPO2」値の低下でした。

 

「SPO2」とは、血中の酸素飽和度のこと。通常、健康な人のSPO2値は90台後半です。

 

さまざまな方のSPO2値をチェックしてきた経験からいっても、100%を示すことは稀ですが(過呼吸のケースもあるとか)、ほぼ99〜96%の範囲で収まります。

 

それが、新型コロナに感染して肺に異常をきたしている場合だと、90%前半まで落ちてきます。そして90%を割り込むと、通常すぐに「酸素投与」の指示が医者から出されるのです。

 

なぜSPO2が「90%」を切ると危険なのか?

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 それではなぜ、SPO2が90%を下回ってはいけないのでしょう。血液中の酸素が90%もあるなら、なんだかまだ十分そうに感じませんか?

 

その回答は、パルスオキシメーター(SPO2測定器)の普及につとめる「日本呼吸器学会」のホームページより抜粋させていただきます。

 

SpO2 が 90%未満は呼吸不全の状態 です。長期に継続すると、心臓や脳と いった重要な臓器に充分な酸素が供給 されず、障害を起こすことがあります。 そこで、SpO2 を 90% 以上に維持する 必要があります。「日本呼吸器学会」HPより

 

つまり、90%を切ると「ちゃんと呼吸できていない状態」ということですね。

この状態が継続することで、臓器に深刻なダメージを受ける危険性があるというわけです。

 

「SPO2」値の低下は、意外と自分で気づけない。

 

では、実際にSPO2値が80%台にまで下がった本人は、劇的な変化に苦しむのでしょうか?

それについては意外にも、さほど自覚がないケースも多々あるのが現実なのです。

 

今は亡きわたしの父は、間質性肺炎を患っていました。この病気の恐ろしさは、肺の組織が損傷して機能しなくなる点にあります。(新型コロナの予後では、同様の症状になるケースが報告されています。)

 

ところが、本人はさほど苦しさを感じていないのに、SPO2自体は60%台以下まで急降下していることが度々ありました。

 

そして、本人が体調の変化に気づいた時には、意識を失う直前で朦朧として動けなくなっている様もこの目で見ています。

 

新型コロナでも、SPO2は低下しているのに、本人は無自覚という「ハッピーハイポキシア(自覚なき低酸素症)」と呼ばれる症状がよく見られますが、

 

周りからは一見”ふつうにしか見えない”というのは、実はとても厄介で危険なことなのです。

 

 

SPO2チェックは新習慣となるか??

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本人の自覚がないまま感染し、自覚がないまま酸素濃度が低下していく。。そんな可能性すら想定される中、SPO2値の計測はもはや、病院だけで行う時代ではありません。

 

パルスオキシメーターを購入するなら、2万円台のものを。

試しにAmazonをのぞいてみましたが、中国製の性能が頼りなさそうなパルスオキシメーターが多く、医療現場ではとても怖くて使えないな、というのが本音です(笑。

 

緊急時にわずか数秒で指先から酸素飽和度を測定するのですから、機能上1万円以下の商品では役不足なのは否めません。。

 

なにしろ、測定値がわずか数%違うだけで、医療的な判断が全く違ってくるのです。その点、パルスオキシメーターを開発したコニカミノルタ社製であれば、絶対的な信頼がおけるでしょう。

 

正確性のみならず耐久性も求められる病院での使用なら、↓のレベルが求められますが、一般家庭で3万円半ばの購入価格は正直キツい。。

 

 そこで、2万円台前半のこちらの商品なら、家庭用としては十分だと思います😊

パルスオキシメーターは、酸素飽和度と同時に脈拍/分もカウントできるため、登山をされる方、ふだんの健康管理をされる方にも長く重宝される機器でしょう。

 

残念ながら、Apple Watchは医療用として”完全にアウト”。

以上の流れから考えると一番の理想は、SPO2の”常時モニタリング”ですよね。

危険値付近まで低下した時のアラーム機能があれば、自覚がないまま低酸素症に陥ることは避けられます。

 

そして、その実現が考えられるのは、Apple Watchの「血中酸素ウェルネス」機能だと、多くの方がイメージされることでしょう。

 

ところが。

 

残念ながら、上記の機能は医療レベルの判断としては全く用をなさないことがわかっています。以下に素晴らしい実証実験の記事があるので、ご興味のある方は参照してください。

 

iphone-mania.jp

簡単にまとめると、NGの大きな理由は2つ。

 

  • SPO2値は、手首での計測に適さない
  • 医療用とはそもそも測定方式が違う

 

今後、アップルが大幅な機能のリニューアルを図らない限り、危険をモニタリングする役割はまだ担えないことにご注意くださいね。

 

 まとめ

 さて。そんなわけで、血中酸素濃度が低下することがいかに危険なのかご理解いただけたと思います。そして現状では、SPO2を正確に測定することができるのは「パルスオキシメーター」のみ。

SPO2値は命に直結する数値ですから、できるだけ高性能なものを購入することにしましょう、というお話でした。

 

 それではまた、たろけんでした😊