どうせなら”一生使える”知識にしてあげたい。
たろけんです。
百人一首を全部覚えたことがある方って、どれぐらいいるんでしょう?
そもそも、学校で百人一首大会があったとか、授業で覚えさせられたとかでない限り、なかなか触れる機会がないですよね。
わが家では、夏休みに”一生使える知識”を丸ごと暗記する、というチャレンジをさせています。
小1の夏には九九を、コロナ禍で休校期間の長かった2年生は、3年生までの漢字と4年生までの算数を。
そして、3年生の夏は「百人一首全暗記チャレンジ」と相成りました✨
今回は、百人一首の”一生使える”覚え方をテーマにお送りしたいと思います。
歌の”意味”まで覚えるのに「まんが百人一首大辞典」が一択なわけ
九九は、まごうことなき”考えるツール”ですが、百人一首は ”感じる力” を磨いてくれるツール。
日本語の「リズム」や「音のひびき」、今と昔の「感性の違い」と「共感ポイント」などといった具合にですね。
ただ、わたしも小学5年生で100首を覚え、学年大会チャンピオンにまでなったものの、残念ながら意味まではほぼ覚えていません。。。ww
コレ、なにがもったいないって、せっかく覚えたのに”感じるツール”としての機能を全く果たしていないんですね。
例えるなら「九九はぜんぶ言えるけど、意味は知らないよ」みたいな残念さ(笑。
だからこそ、早く覚えたり早取りに強くなるより、意味までしっかり理解している方が何倍も価値があります。
そこで、本屋さんに行き、その視点で関連書籍を読み比べてみたところ、コチラの本が”一択”といっていいほどのデキであることがわかりました。
その優れた点を3つ上げると、以下の内容になります。
- レイアウト編集が素晴らしい✨「まんが」「言葉」「意味」が連動して頭に入る
- 6名の漫画家のタッチがいずれも秀逸。歌の理解をしっかりと助けてくれる
- 時代背景、歌が詠まれた背景を書いた「解説」で知識に広がりが生まれる
そもそも、マンガで百人一首の意味を覚えるメリットは何でしょう?それは、「マンガに描かれた情景」によって歌の意味を覚えることができる点です。
”情景が一発でイメージできる”マンガの面目躍如
ビジュアルとテキストを同時に伝えるのに、マンガほど優れた手法はないでしょう。
たとえば、
わたの原 こぎ出てみれば ひさかたの 雲居にまがふ 沖つ白波
という歌の「雲居にまがふ 沖つ白波」。
この意味、現代に生きるわたしたちには完全に意味不明ですよね。。(笑
この「意味わからん感」こそが「つまらん感」を生み、やがては「やーめた!」へとつながってしまいます。
さてさて、本書で見る「雲居にまがふ 沖つ白波」の情景はコチラです。↓
どうでしょう、実にスケールの大きな歌ですよね。なんだか、頭の中にまざまざと大海原の情景が浮かんできませんか?
雲と見違えるほどの 沖の白波
意味だけで言うなら、これで正解なわけですが。。
和歌の形式で詠まれたその情景こそ「くもいにまごう おきつしらなみ」。
語感も含めて日本語はかくも美しくなるわけですね。
歌人の美的センスは、”写真アプリのフィルター”と同じ
足掛け600年もの間に詠まれた、名人たちによる無数の和歌。その中から藤原定家に選ばれたのが、わずか100首の「百人一首」です。
これって実にスゴイことだと思いませんか??
なぜって、600年の間に生まれた全ヒットソングからたった100曲に絞り込むのと同じなわけですから。
そう考えれば、その一首ずつが時代を代表する”美意識の塊”。
子どもたちが100首をおぼえて口ずさめば、日本人の600年間にわたる研ぎ澄まされた感覚を追体験することができるのです。
これはいわば、スマホアプリの”写真フィルター”みたいなもの。
毎日見ているなにげない風景であっても、歌仙たちの美的センスのフィルターがかかれば、かくも優雅な歌になるわけです。
そんなアプリ、ダウンロードしない手はありませんよね?(笑。
会話に広がりが生まれ、やがて感性が深化していく。
夏休み中のある日、わたしは娘にこんな質問をしてみました。
「百人一首って、”恋の歌”と”季節の歌”がすべてなのかな?」
「う~ん。。それだけでもないよ。”人生の歌”っていうのがある。」
娘はそう言うと、例として2首ほどを意味とともに挙げてくれました。
花の色は 移りにけりないたずらに わが身世にふる ながめせしまに
おほけなく うき世の民におほふかな わが立つ杣に 墨染の袖
これを聞いただけでも、今回のチャレンジは成功だったなと思うのです。
この世には、恋にゆれる心と、季節の移ろいをたのしむ心、そして、人生を歌う心がある。
小学校3年生でそれを知っただけでも、素晴らしい財産です。
そして、つい先日の満月の夜。
いつものようにベランダにアウトドアチェアを出して食後に涼んでいると、娘が上機嫌で「ガリガリ君」を食べながら、百人一首をいくつか諳(そら)んじはじめました。
そこで「夏の夜の歌って、何かないの?」とリクエストを出してみたところ、
「あるよー!」とひとこと。それがこちらの一首です。
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいずこに 月宿るらむ
夜空を見上げると、まるでこの歌の状況そのもの、といった具合に月が雲に隠れています。
そのことを娘に伝えていると、やがて雲間から満月がその姿を現し、わたしたちは同時に歓声を上げました。
もののあはれを感じる心。
そんなもの、今の時代にいらないよ、と言われる方も多いことでしょうね。
でも、人の心というのは今も昔も移り気で、はかなく、時に傷つきやすいもの。
もののあはれを感じる心は、今に生きる視点だけでなく、悠久の時の流れの中で育まれた美意識を取り入れることで養われる、「心の機微を読み取る」センサーのようなものなのです。
それが故、人の心を知り、うつくしい自然と共に暮らしていく上でも、欠かすことのできないものなのですね。
千年以上も前の人と同じ月を見上げ、同じ歌を口にしながら宵のひとときを親子で過ごす。
そうした時間こそ、百人一首のような”感じるツール”を手に入れなければ得られないものだと思います。
「昔の人はね、いま見ている月とおなじ月を見てこの歌を詠んだんだよ。」
「ふうん・・・・」
娘の方をふりさけ見れば、早くも溶け始めたガリガリ君に夢中のようです。。(笑。
まとめ
そんなわけで今回は、百人一首において”意味”を覚えることがいかに重要なのかを書いてきました。
600年の歳月の中で生まれ、今も輝きつづけるこれらの言葉が、やがて子どもたちの血肉になるのだとしたら。SNS全盛の今の時代にあって、とても素敵なことだとは思いませんか?
まんがで覚えることで敷居はグッと低く、間口はずっと広がります。
小学3年生が夏休み期間中に全首をコンプリートできた「まんが百人一首大辞典」。自信を持ってオススメします!
それではまた。たろけんでした😊